ゲームプレイ クラス

ゲームプレイ クラスの作成および実装に関するリファレンス ページ

Unreal Engine で使用する全てのゲームプレイ クラスは、クラス ヘッダ ファイル (.h) とクラス ソース ファイル (.cpp) で構成 されています。クラス ソース ファイルは、クラスに属する関数を 実装 することによってクラスの機能を定義するファイルである一方で、 クラス ヘッダ ファイルには変数や関数など、クラスの宣言とそのメンバーが 含まれています。

Unreal Engine のクラスには標準化した命名スキームがあり、クラスの最初の文字 (プレフィックス) を見ただけで、 瞬時にクラスの種類が判断できます。以下はゲームプレイ クラスのプレフィックスです。

プレフィックス

意味

A

スポーン可能 なゲームプレイ オブジェクトの基底クラスからの拡張です。これらはアクタで、ワールド内へ直接スポーンすることができます。

U

全ゲームプレイ オブジェクトの基底クラスからの拡張です。このクラスはワールド内へ直接インスタンス化することはできません。アクタに属さなければいけません。通常は コンポーネント のようなオブジェクトです。

クラスの追加

C++ クラス ウィザード は、新規クラスに必要なヘッダ ファイルとソース ファイルを設定し、それに応じてゲーム モジュールを更新します。 ヘッダ ファイルとソース ファイルには、 UCLASS() マクロのようなアンリアル エンジン固有のコードに加えて、クラス宣言とクラス コンストラクタを自動的にインクルードします。

クラスヘッダ

Unreal Engine のゲームプレイクラスにはそれぞれ、固有のクラス ヘッダ ファイルがあります。ファイルには、その中で定義されているクラスと一致する名前を付けなければなりません。 A または U のプレフィックスを差し引いて「.h」ファイル拡張子を使用します。例えば AActor クラスのクラス ヘッダ ファイルの名前は Actor.h となります。 エピック ゲームズのコードはこうしたガイドラインに従いますが、現在のエンジンではクラス名とソースファイル名との間には正式な関係は存在しません。

ゲーム プレイ クラスのクラス ヘッダ ファイルは、クラス、変数、関数の宣言プロセスを単純化するために、特殊マクロと標準の C++ 記法を併用します。

各ゲームプレイ クラスのヘッダ ファイル最上部には、以下のようにクラス用に (自動) 生成されたヘッダ ファイルをインクルードしなくてはいけません。従って ClassName.h の上には次の行が表示されます。

    #include "ClassName.generated.h"

クラスの宣言

クラスの宣言はクラス名、継承元のクラス、継承した関数や変数があれば定義します。クラスの宣言では、クラス指定子 やメタデータ経由で望まれる 他のエンジンやエディタ固有の動作も定義します。

クラスの宣言の記法は以下の通りです。

    UCLASS([specifier, specifier, ...], [meta(key=value, key=value, ...)])
    class ClassName : public ParentName
    {
        GENERATED_BODY()
    }

宣言は、クラスのための標準の C++ クラス宣言で構成されています。標準の宣言の上で、クラス指定子やメタデータなどの記述子が UCLASS マクロへ 渡されます。これらは宣言されているクラスに対して UClass を作成するために使用され、エンジンの特別なクラス表現とみなされます。また、GENERATED_BODY() マクロを マクロはクラス本体の冒頭に配置しなくてはいけません。

クラス指定子

クラスを宣言するときに、エンジンやエディタの様々な側面でクラスがどのように動作するかを制御する クラス指定子 を宣言に追加することができます。

クラス指定子

効果

Abstract

Abstract 指定子によって、このクラスを「抽象基本クラス」として宣言し、このクラスのアクタがレベルに追加されないようにします。これは、それ自体では意味をもたないクラスで役立ちます。例えば、ATriggerBase 基本クラスは抽象ですが、ATriggerBox サブクラスは抽象ではなく、レベルに配置可能です。

AdvancedClassDisplay

AdvancedClassDisplay 指定子は、クラスのすべてのプロパティを、[Details (詳細)] パネルの [詳細セクション] でのみ見えるようにします。個々のプロパティでこれをオーバーライドするには、プロパティで SimpleDisplay 指定子を使います。

AutoCollapseCategories=(Category1, Category2, ...)

AutoCollapseCategories 指定子は、親クラスの AutoExpandCategories 指定子のリストされているカテゴリの効果を無効にします。

AutoExpandCategories=(Category1, Category2, ...)

このクラスのオブジェクトに対し、アンリアル エディタのプロパティ ウィンドウで自動的に展開するカテゴリを 1 つ以上指定します。カテゴリなしで宣言された変数を自動展開するには、変数を宣言するクラス名を使用します。

Blueprintable

ブループリントの作成に使用できる基本クラスとしてこのクラスを公開します。他のものを継承していない場合、初期設定は NotBlueprintable となります。この指定子はサブクラスで継承されます。

BlueprintType

ブループリントの変数に使用できるタイプとしてクラスを公開します。

ClassGroup=GroupName

アクタのブラウザで Group View が有効な場合、指定された GroupName` 内でクラスとサブクラスを含みます。

CollapseCategories

このクラスのプロパティは、アンリアル エディタのプロパティ ウィンドウのカテゴリでグループ化されません。この指定子は子クラスに受け継がれますが、DontCollapseCategories 指定子によってオーバーライドすることができます。

Config=ConfigName

このクラスがコンフィギュレーション ファイル (.ini) にデータを格納できることを示しています。config 指定子または globalconfig の指定子で宣言されているクラスのプロパティがあれば、指定子によって、こうしたプロパティを指定されたコンフィギュレーション ファイルに格納します。この指定子は全ての子クラスへ受け継がれ、無効にすることはできませんが、子クラスは config 指定子を再宣言し、別の ConfigName を指定することによって config ファイルを変更することができます。一般的な ConfigName 値は、"Engine"、"Editor"、"Input"、および "Game" です。

Const

このクラスの全プロパティと関数は const です。また、const としてエクスポートされなくてはいけません。この指定子はサブクラスで継承されます。

ConversionRoot

ルートの変換は、サブクラスの変換を階層を上に進み、最初のルートクラスの子クラスのみに制限します。

CustomConstructor

コンストラクタ宣言の自動生成を防ぎます。

DefaultToInstanced

このクラスの全インスタンスは「インスタンス化された」とみなされます。インスタンス化されたクラス (コンポーネント) は構成時に複製されます。この指定子はサブクラスで継承されます。

DependsOn=(ClassName1, ClassName2, ...)

リストされている全クラスは、このクラスより前にコンパイルされます。クラス名は同じ (あるいは以前の) パッケージのクラスを指定しなければなりません。1 行の DependsOn をカンマで区切ったり、クラスごとに別の DependsOn 行を使うことで、複数の依存クラスを特定することができます。これは他のクラスで宣言された構造体や列挙型変数をクラスで使う場合に重要になります。コンパイラはクラス内のコンパイル済みのものしか認識しないからです。

Deprecated

このクラスは非推奨とし、クラスのオブジェクトはシリアル化時に保存されません。この指定子はサブクラスで継承されます。

DontAutoCollapseCategories=(Category, Category, ...)

親クラスから継承したリスト化されたカテゴリの AutoCollapseCategories 指定子を無効にします。

DontCollapseCategories

基本クラスから継承した CollapseCatogories 指定子を無効にします。

EditInlineNew

このクラスのオブジェクトは、既存のアセットから参照されるのではなく、アンリアル エディタのプロパティ ウィンドウから作成できることを示しています。デフォルトの挙動は、既存のオブジェクトのみの参照をプロパティ ウィンドウで割り当てることができます。この指定子はすべての子クラスに受け継がれますが、子クラスは NotEditInlineNew 指定子を使ってこの指定子をオーバーライドできます。

HideCategories=(Category1, Category2, ...)

ユーザー エンティティから非表示にするカテゴリを 1 つ以上リスト化します。カテゴリなしで宣言されたプロパティを非表示にするには、変数を宣言するクラス名を使います。この指定子は子クラスに受け継がれます。

HideDropdown

プロパティ ウィンドウのコンボ ボックスにこのクラスが表示されないようにします。

HideFunctions=(Category1, Category2, ...)

指定されたカテゴリのすべての関数をユーザー エンティティから非表示にします。

HideFunctions=FunctionName

名前付き関数をユーザー エンティティで非表示にします。

Intrinsic

クラスは直接 C++ で宣言され、 UnrealHeaderTool はボイラープレートを生成しないことを示します。新規のクラスにこの指定子を使用しないでください。

MinimalAPI

他のモジュールで使用するために、クラスの型情報のみエクスポートさせます。クラスはキャスト可能ですが、クラスの関数を呼び出すことはできません (インライン メソッドは除く)。これにより、他のモジュールからすべての関数にアクセス可能である必要のないクラスで何もかもをエクスポートしないことでコンパイル時間を短縮できます。

NoExport

このクラスの宣言は、ヘッダ ジェネレータで自動生成された C++ ヘッダファイルに含まれてはいけないことを示します。C++ クラス宣言は、別のヘッダファイルで手書きのコードによって定義されなければなりません。ネイティブ クラスに対してのみ有効です。新規のクラスにこの指定子を使用しないでください。

NonTransient

基本クラスから継承した Transient 指定子を無効にします。

NotBlueprintable

ブループリントの作成に使用できない基本クラスに指定します。これはデフォルトであり、サブクラスで継承されます。

NotPlaceable

基本クラスから継承した Placeable キーワードを無効にします。このクラスのオブジェクトはエディタでレベル、UI、シーン、ブループリントなどには配置できないことを示します。

PerObjectConfig

このクラスのコンフィギュレーション情報はオブジェクト毎に保存されます。この場合、各オブジェクトは [ObjectName ClassName] の形式でオブジェクトにちなんで名付けられた .ini ファイルのセクションを持ちます。この指定子は子クラスに受け継がれます。

Placeable

アンリアル エディタで作成可能であり、レベル、 UI シーン、ブループリント (クラスのタイプにより異なります) で作成置可能なクラスであることを示します。このフラグは子クラスに受け継がれますが、子クラスは NotPlaceable 指定子を使ってこのフラグをオーバーライドできます。

ShowCategories=(Category1, Category2, ...)

リストされているカテゴリの HideCategories 指定子 (基本クラスから継承) を無効にします。

ShowFunctions=(Category1, Category2, ...)

リストされているカテゴリ内の全関数をプロパティ ビューアに表示します。

ShowFunctions=FunctionName

名前付けした関数をプロパティ ビューアに表示します。

Transient

このクラスに属するオブジェクトがディスクに保存されることはありません。プレイヤーやウィンドウなど、本質的に非永続的な、一定のネイティブ クラスと併用する場合に役立ちます。この指定子は子クラスに受け継がれますが、NonTransient 指定子によってオーバーライドすることができます。

Within=OuterClassName

このクラスのオブジェクトは OuterClassName オブジェクトのインスタンス外では存在できません。つまり、このクラスのオブジェクトの作成では、OuterClassName のインスタンスが Outer オブジェクトとして指定されていることが必要です。

メタデータ指定子

クラス、インターフェイス、構造体、列挙型変数、列挙型変数の値、関数、プロパティを宣言するときに、メタデータ指定子 を宣言に追加して、エンジンやエディタの様々な側面でどのようにインタラクタするかを制御することができます。データ構造またはメンバのそれぞれの型には、固有のメタデータ指定子のリストがあります。

メタデータはエディタのみに存在しています。メタデータにアクセスするゲーム ロジックを書かないでください。

クラスは以下のメタタグ指定子を使用することができます。

クラス メタ タグ

効果

BlueprintSpawnableComponent

このコンポーネント クラスが存在する場合、ブループリントでスポーン可能です。

BlueprintThreadSafe

ブループリント関数ライブラリでのみ有効です。この指定子は Animation ブループリントのノンゲーム スレッドでこのクラスの関数を呼び出し可能とマーク付けします。

ChildCannotTick

Actor クラスと Component クラスで使用されます。ネイティブ クラスがティックできない場合、このアクタまたはコンポーネントを元にしてブループリントが生成したクラスは、bCanBlueprintsTickByDefault が true であっても決してティックできません。

ChildCanTick

Actor クラスと Component クラスで使用されます。ネイティブ クラスがティックできない場合、bCanBlueprintsTickByDefault が false であっても、このアクタまたはコンポーネントを元にしたブループリントが生成したクラスでは、bCanEverTick がオーバーライドされます。

DeprecatedNode

ビヘイビア ツリー ノードで、クラスが非推奨であることを示し、コンパイル時に警告が表示されます。

DeprecationMessage="Message Text"

このメタデータを含む非推奨のクラスには、コンパイル中にブループリント スクリプトが生成する標準の非推奨の警告とともにこのテキストが含まれます。

DisplayName="Blueprint Node Name"

ブループリント スクリプト内のこのノード名は、コードが生成する名前の代わりにここで指定する値で置き換えられます。

DontUseGenericSpawnObject

ブループリントで Generic Create Object ノードを使用するクラスのオブジェクトをスポーンしないでください。この指定子は、アクタでもアクタ コンポーネントでもないブループリント タイプのクラスにのみ適用されます。

ExposedAsyncProxy

Async Task ノードでこのクラスのプロキシ オブジェクトを公開します。

IgnoreCategoryKeywordsInSubclasses

クラスの最初のサブクラスが継承されるすべての ShowCategoriesHideCategories の指定子を無視するようにします。

IsBlueprintBase="true/false"

このクラスがブループリントを作成するために使用可能 (または使用不可) の基本クラスであることを示します。BlueprintableNotBlueprintable と同様です。

KismetHideOverrides="Event1, Event2, .."

オーバーライドできないブループリントのイベント リストです。

ProhibitedInterfaces="Interface1, Interface2, .."

クラスと互換性がないインターフェースのリストです。

RestrictedToClasses="Class1, Class2, .."

Blueprint Function Library クラスが使用し、リストに名前があるクラスに使用を制限します。

ShortToolTip="Short tooltip"

親クラスのピッカー ダイアログなどフル ツールチップでは長すぎる場合に短いツールチップを使います。

ShowWorldContextPin

このクラスが所有するグラフに配置されたブループリント ノードが、ワールド コンテキストのピンを通常は非表示であっても表示しなければならないことを示します。このクラスのオブジェクトはワールド コンテキストとして使うことはできないからです。

UsesHierarchy

クラスが階層データを使うことを示します。[Details (詳細)] パネルで階層編集機能をインスタンス化するために使用されます。

ToolTip="Hand-written tooltip"

コード コメントから自動的に生成されたツールチップをオーバーライドします。

クラスの実装

すべてのゲームプレイ クラスは、適切に実装するために GENERATED_BODY マクロを使用しなければなりません。これは、クラスとそのすべての変数と関数を定義するクラスヘッダ (.h) ファイルで 行われます。クラス ソース ファイルとヘッダー ファイルのベスト プラクティスは、A または U のプレフィックスを取り除いて、実行中のクラスに一致する名前をつけることです。従って、AActor クラスのソース ファイルは Actor.cpp という名前になります。そのヘッダ ファイルは Actor.h という名前になります。これは、エディタ内の "Add C++ Class" メニュー オプションによって作成されるクラスを自動的に処理します。

このソース ファイル (.cpp) には C++ クラス宣言を含むヘッダ ファイル (.h) がインクルードされていなければなりません。これは通常自動生成されますが、必要に応じて手書きのコードでも作成可能です。例えば、AActor クラスに対する C++ 宣言は EngineClasses.h ヘッダ ファイルで自動生成されます。つまり Actor.cpp ファイルには、EngineClasses.h ファイルかこのファイルをインクルードする 別のファイルがインクルードされていなければなりません。一般的には、ゲーム プロジェクト用のヘッダ ファイルをインクルードし、それがゲーム プロジェクトのゲームプレイ クラスのヘッダをインクルードします。AActorEngineClasses.h の場合、 Engine プロジェクト用のヘッダ ファイルである Engine.h をインクルードする EnginePrivate.h ヘッダがインクルードされ、それが `Engine.h`ヘッダ ファイルをインクルードします。

    #include "EnginePrivate.h"

インクルードされていないクラスの関数の実装で他のクラスを参照する場合、ファイルを追加でインクルードする必要があるかもしれません。単にそのファイルをインクルードして追加します。

クラス コンストラクタ

UObjectsコンストラクタ を使ってプロパティおよびその他の変数のデフォルト値の設定や、その他必要な初期化を実行します。クラス コンストラクタは通常、クラス実装ファイル内に置かれます。 例えば、AActor::AActor コンストラクタであれば、 Actor.cpp の中です。

一部のコンストラクタは、モジュール別に特別な「コンストラクタ」ファイルに置かれる場合もあります。例えば、AActor::AActor コンストラクタは EngineConstructors.cpp 内に存在します。これは 以前に、コンストラクタの採用に DEFAULTS ブロックを使用した自動変換プロセスの結果です。これらは時間と共にそれぞれのクラス ソース ファイルに移動していきます。

コンストラクタ インラインをクラス ヘッダ ファイルに配置することも可能です。ただし、コンストラクタがクラス ヘッダ ファイル内にある場合、 自動コードジェネレータがヘッダにコンストラクタ宣言を生成することを防ぐために、 UClass は CustomConstructor 指定子で宣言されなければなりません。

コンストラクタの形式

以下が、 UObject コンストラクタの最も基本的な形式です。

    UMyObject::UMyObject()
    {
        // クラスデフォルト オブジェクト プロパティをここで初期化する。
    }

このコンストラクタが Class Default Object (CDO) を初期化し、クラスのその後のインスタンスがベースとするマスター コピーになります。特別なプロパティ変更構造体をサポートする セカンダリ コンストラクタもあります。

    UMyObject::UMyObject(const FObjectInitializer& ObjectInitializer)
    :Super(ObjectInitializer)
    {
        // CDO プロパティをここで初期化する。
    }

上記のコンストラクタは両方とも実際には初期化は実行しませんが、エンジンがすべてのフィールドをゼロ、NULL、またはデフォルト コンストラクタが実装する値にしているはずです。 ただし、コンストラクタに書き込まれた初期化コードは CDO に適用されるので、 CreateNewObjectSpawnActor のように、エンジン内で正しく作成されたオブジェクトの新規インスタンスにコピーされます。

コンストラクタに渡される FObjectInitializer パラメータは、const とマークされていますが、ビルトインの「可変」 (mutable) 関数経由で設定してプロパティとサブオブジェクトをオーバーライドすることができます。作成されている UObject にこれらの値が反映されるので、 それを使って登録されたプロパティまたはコンポーネントの値を変更することができます。

    AUDKEmitterPool::AUDKEmitterPool(const FObjectInitializer& ObjectInitializer)
    :Super(ObjectInitializer.DoNotCreateDefaultSubobject(TEXT("SomeComponent")).DoNotCreateDefaultSubobject(TEXT("SomeOtherComponent")))
    {
        // CDO プロパティをここで初期化する。
    }

上記のケースでは、スーパークラスは "SomeComponent" および "SomeOtherComponent" という名前のサブオブジェクトをコンストラクタ内に作成しようとしますが、FObjectInitializer があるので作成はしません。 次のケースでは、SomeProperty が CDO でデフォルトで 26 になるので、AUTDemoHUD の各インスタンスが新しくなります。

    AUTDemoHUD::AUTDemoHUD()
    {
        // CDO プロパティをここで初期化する。
        SomeProperty = 26;
    }

Constructor Statics と Helpers

さらに複雑なデータ型、特にクラスの参照、名前、アセットの参照のために値を設定する場合、 必要な様々なプロパティ値を保持するためにコンストラクタ内で ConstructorStatics 構造体を定義およびインスタンス化することが求められます。ConstructorStatics 構造体は、コンストラクタの初回実行時のみ作成されます。次の実行時にはポインタをコピーするだけなので、 処理速度が超高速になります。ConstructorStatics 構造体が作成されると、後にコンストラクタで実際のプロパティに値を代入する時に、 アクセス手段として構造体のメンバに値が代入されます。

ContructorHelpers は、コンストラクタ特有の共通のアクションを実行するために使用するヘルパー テンプレートを含む ObjectBase.h で定義される特別な名前空間です。例えばヘルパー テンプレートには、 アセットやクラスへの参照を検索するためだけでなく、コンポーネントを作成したり検索するものもあります。

アセットの参照

クラスにアセットの参照が存在しないことが理想的です。ハードコード化されたアセットの参照は壊れやすいので、アセット プロパティの設定にはブループリントの使用が推奨されてきました。しかし、 ハードコード化された参照は完全にサポートされています。オブジェクトを構築するたびにアセットの検索を行いたくないため、検索は 1 度だけ行います。静的な構造体を使用して、アセット検索は必ず 1 回だけ 実行するようにできます。

ConstructorHelpers::FObjectFinderStaticLoadObject を使って指定された UObject への参照を検索します。一般的にこれはコンテンツ パッケージに格納されているアセットの参照に使用します。オブジェクトが見つからない場合、 失敗したことが報告されます。

    ATimelineTestActor::ATimelineTestActor()
    {
        // 1度きりの初期化を維持するための構造体
        struct FConstructorStatics
        {
            ConstructorHelpers::FObjectFinder<UStaticMesh> Object0;
            FConstructorStatics()
            :Object0(TEXT("StaticMesh'/Game/UT3/Pickups/Pickups/Health_Large/Mesh/S_Pickups_Base_Health_Large.S_Pickups_Base_Health_Large'"))
            {
            }
        };
        static FConstructorStatics ConstructorStatics;

        // プロパティの初期化。

        StaticMesh = ConstructorStatics.Object0.Object;
    }
クラスの参照

ConstructorHelpers::FClassFinder は指定された UClass への参照を検索し、見つからない場合は失敗したことを報告します。

    APylon::APylon(const class FObjectInitializer& ObjectInitializer)
    :Super(ObjectInitializer)
    {
        // 1度きりの初期化を維持するための構造体
        static FClassFinder<UNavigationMeshBase> ClassFinder(TEXT("class'Engine.NavigationMeshBase'"));
        if (ClassFinder.Succeeded())
        {
            NavMeshClass = ClassFinder.Class;
        }
        else
        {
            NavMeshClass = nullptr;
        }
    }

たいていの場合、 USomeClass::StaticClass() を使って ClassFinder の複雑さをまとめてスキップすることができます。例えば、ほとんどの状況で次のメソッドを利用できます。

    NavMeshClass = UNavigationMeshBase::StaticClass();

モジュール間の参照の場合は、ClassFinder メソッドを使用した方が良いかもしれません。

コンポーネントとサブ オブジェクト

コンポーネント サブオブジェクトの作成およびアクタの階層へのアタッチも、コンストラクタ内で行うことができます。アクタのスポーン時に、そのコンポーネントは CDO からクローンされます。コンポーネントが毎回正しく作成、破棄、ガーベジコレクション処理されるように、 コンストラクタで作成された各コンポーネントへのポインタは、所有クラスの UPROPERTY に格納されます。

    UCLASS()
    class AWindPointSource : public AActor
    {
        GENERATED_BODY()
        public:

        UPROPERTY()
        UWindPointSourceComponent* WindPointSource;

        UPROPERTY()
        UDrawSphereComponent* DisplaySphere;
    };

    AWindPointSource::AWindPointSource()
    {
        // 新しいコンポーネントを作成し、名前を付けます。
        WindPointSource = CreateDefaultSubobject<UWindPointSourceComponent>(TEXT("WindPointSourceComponent0"));

        // 新しいコンポーネントをこのアクタのRootComponentとして設定するか、すでに存在する場合はルートにアタッチします。
        if (RootComponent == nullptr)
        {
            RootComponent = WindPointSource;
        }
        else
        {
            WindPointSource->AttachTo(RootComponent);
        }

        // 2つ目のコンポーネントを作成します。これは、先ほど作成したコンポーネントに添付されます。
        DisplaySphere = CreateDefaultSubobject<UDrawSphereComponent>(TEXT("DrawSphereComponent0"));
        DisplaySphere->AttachTo(RootComponent);

        // 新しいコンポーネントにいくつかのプロパティを設定します。
        DisplaySphere->ShapeColor.R = 173;
        DisplaySphere->ShapeColor.G = 239;
        DisplaySphere->ShapeColor.B = 231;
        DisplaySphere->ShapeColor.A = 255;
        DisplaySphere->AlwaysLoadOnClient = false;
        DisplaySphere->AlwaysLoadOnServer = false;
        DisplaySphere->bAbsoluteScale = true;
    }

親クラスに属するコンポーネントの修正は通常必要ありません。ただし、親クラスによって作成されたコンポーネントを含め、アタッチされたすべてのコンポーネントの現在のリストが、 ルート コンポーネントを含め、USceneComponentGetAttachParentGetParentComponentsGetNumChildrenComponentsGetChildrenComponentsGetChildComponent を 呼び出すことで利用することができます。

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